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受験生が荒波に乗るためのマナー

kou4pro123@

体格に合わないサーフボードを売るな

〜塾講師と受験生の最低限のマナー〜

とあるサーフショップで、こんな場面を見た。

まだ初心者らしき若者が、「カッコいい」という理由だけで、長くて細いサーフボードを手に取っていた。

横にいた販売員はこう言った。

「ちょっと難しいかもしれないけど、練習すれば乗れるようになりますよ」

その若者はそのボードを買っていった。

しかし僕の目には、そのボードが彼の体格にも技術にも明らかに合っていないのは明白だった。

努力を前提にした販売には「設計図」が必要だ

確かに、どんな道具も努力すればある程度は使いこなせる。

だが、その努力の「量」や「種類」までは語られなかった。

自分に合わないサーフボードを乗りこなすためには、

基礎筋力の強化・体幹バランスの調整・波の見極め力・繰り返しの失敗体験——

それらすべてが要求される。

つまり、それは「買ってすぐに楽しめる道具」ではなく、

「数ヶ月かけてようやく扱えるようになる修行の道具」なのだ。

だからこそ販売員には、

「この板を買うなら、こういう努力が必要です」

という努力の設計図を示す責任がある。

努力を強いるなら、その努力を可視化し、伝えるべきなのだ。

受験生と塾講師の関係にも通じること

この話は、そのまま塾講師と受験生の関係にも当てはまる。

塾講師は、生徒に「教材」や「勉強法」や「志望校」を提示する。

それらが本当に生徒にとって“扱えるもの”かどうかを、冷静に見極めなければならない。

「君ならできるよ」

「努力すれば大丈夫だよ」

——その言葉が、無責任な“励まし”になっていないか。

もしその教材や志望校が「自分に合っていないもの」ならば、

生徒に対して相応の努力設計を具体的に提示する責任がある。

最低限のマナーとは「冷静なまなざし」

生徒に教材や勉強法を勧めるとき、

志望校を後押しするとき、

あるいは模試の結果にコメントをする時——

講師は、自分の“理想”や“願望”で生徒を振り回してはいけない。

それが、最低限のマナーだと思う。

販売員が、お客の体格やレベルを見ずにサーフボードを売ってはいけないように、

塾講師も、生徒の状態を見ずに「がんばればできる」と言ってはいけない。

必要なのは「冷静なまなざし」と「具体的な設計図」だ。

おわりに

生徒は講師を信じて、その道具(教材・勉強法)を受け取る。

講師はその信頼に応えて、

“それを使いこなせるまでの道”を一緒に歩む覚悟がなければならない。

サーフボードを売る責任と、

受験生を指導する責任。

根底にあるのは同じだ。

「努力で何とかなる」と言うなら、

「どう努力すれば何とかなるのか」を見せてあげよう。

それが、塾講師としての最低限の誠意であり、マナーだ。

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ABOUT ME
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教室長
20年以上塾・予備校講師として活躍してきた私が、独自のスキルとノウハウを次世代に伝えるために「塾講師を育てる教室」を設立しました。私のビジョンは、単なる知識の伝達ではなく、生徒の可能性を最大限に引き出す洞察力と探究心を持つ教育者を育成することです。使命は、教育の質的革新を通じて若者の可能性を引き出し、志を共にする仲間を増やし、教育界全体のレベルアップに貢献することです。
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