抗わないという攻め

「引き潮に抗うか、波に乗るか──受験生の心構え」
──もはや陸には戻れない。
引き潮に引きずられ、足元から大地が遠ざかる。
波は静かに、だが確実に沖へと運ぶ。必死にもがくほど、体力は奪われ、冷たい水が喉を塞ぐ。
陸へ戻ろうとすることが、最も愚かな行為であると気づくのに、時間はかからない。
この状況を生き抜く方法は、たったひとつ。
「岸に戻る」のではなく、「潮に逆らわず、流れを読み、浮かびながら別の突破口を探す」ことだ。
──それは、受験生の心構えにも通じる話ではないか?
1. 必死に元の場所へ戻ろうとする者の末路
試験直前になり、「もっと早く始めていれば」「あと1カ月あれば」と、過去を悔やむ。
しかし、過去は戻らない。
「今までやったこと」だけが、君の手元に残された道具であり、それを最大限に活かすしかない。
無理に陸へ戻ろうとして、力尽きてしまうのではなく、今できる選択肢を見極めるべきだ。
たとえば、過去問でボロボロだった科目があるとしよう。
「本番までに完璧にする!」と焦るあまり、膨大な時間を費やし、結局どの科目も中途半端に終わる。
その選択は正しいだろうか?
それよりも、「今から最も点数を伸ばせる分野」に重点を置き、潮の流れに乗るべきではないか?
むやみに抗うのではなく、「この状況をどう打開するか」に意識を向けるのが、合格への戦略だ。
2. 力を抜き、流れを読む者だけが生き残る
引き潮に飲まれた者は、焦って体を固くすると沈む。
しかし、力を抜き、海の流れを読みながら冷静に対処すれば、息を繋ぐことができる。
それは受験でも同じだ。
「あと1点、2点をどう伸ばすか?」
「出題者の意図を読むには?」
「短時間で最大の効果を得るには?」
こうした問いを持ち、受験戦略を考える者だけが、生き残る。
直前期は、すべてを完璧にしようとすると失敗する。
大切なのは、最も効率的な道を見つけ、そこに全力を注ぐことだ。
3. 陸ではなく、新たな岸を目指せ
受験が迫ると、もう後戻りはできない。
それならば、苦しんで沈むのではなく、流れを活かし、新たな岸を目指せばいい。
・過去は変えられないが、未来の選択はできる
・目の前の選択肢の中で、最も生存率が高い道を選ぶ
・焦らず、冷静に、最短ルートを見極める
これこそが、君がこの試験を乗り越えるための「受験生の心構え」だ。
──陸には戻れない。でも、新たな岸は見えてくる。
潮の流れを読み、進むべき方向を見つけるのは、君自身だ。